NARA-wave
ナラウェイブ(学生映画部門)
監督
主人公はココという名前の、実在する１人の女性です。母国や家族から離れ、ロンドンで１人クリーニング店を営みながら暮らす、いわゆる華僑１世。彼女と出会ったのは、前回、制作したドキュメンタリーがきっかけで、しかも彼女の住まいは私の家の近くでした。
知り合った当初、彼女は暖かくて誠実な人だと思ったのですが、インタビューをしている最中は、まるで別人になってしまいました。リラックスして話せるよう頑張ってみても、ココはカメラの前で嘘をつきとおしました。家族やロンドンでの生活を尋ねると、「大丈夫。家族仲はうまくいっているし、お互いに愛し合っているの」と言うばかりでした。自分を偽るかのようなその姿に、私はかえって興味をかきたてられ、もっと彼女のことを知りたいと思いました。
夫や娘さんとはどのような関係なのか？
ココにとって家族はどういう存在なのか？
ロンドンに友達はいるのか？
ココはクリーニング店のすべての客に親切なのか。それとも、娘さんと私が同い年という理由で、私にだけ優しくしてくれるのか。
インタビューのあと、こんな風にいくつもの疑問がわいてきたのですが、ココに直接、聞けなかった。だから私は彼女についての物語を書きました。
ジン･ジャオ
ロンドン・フィルム・スクール
なら国際映画祭サポーターによるおすすめのポイント
遠く離れた中国の家族を支えているリリー。彼女の憂鬱な日々に差し込む一条の光。モノクロの美しい映像の中に、彼女の忘れていたトキメキのようなものを観客に感じさせてくれます。広東語と北京語の作品は、遠い街で出会う香港人の郷愁も感じさせてくれます。
