田中希美絵

私は日本で生まれ育ちましたが、最近少し海外で生活することが多く、そんな中で、日本の社会は、『社会』が決めた理想像を個人が目指していることが多いことに気づきました。そして若い世代は親の世代の価値観を型にはまって古いと嫌いますが、かたや若い世代も自身の価値観が社会全体の価値観に大いに左右されることを逃れられません。そしてそのような期待は、家族だからこそより強くなり、時にはすれ違いや怒りを生みます。大切に思っているにもかかわらず。もしくは、大切に思っているからこそ。この映画では、整って安全な日本社会における、そのような社会的価値観に影響されての期待や感情に左右される家族関係について描きます。