日本を代表する芸術家、岡本太郎(1911-1996)は、1959年と1966年、「沖縄」に旅をした。
きっかけは、日本人としてのアイデンティティを探し求めて、日本再発見の旅に出たことだった。その旅の、いちばん最後にぶつかったのが「沖縄」であったのだ。彼の究めたかったものとは、日本人とは何か?自分自身とは何か?の答えを求めることだった。
60年以上も前の沖縄の旅で、太郎が捉えたものとは、素っ裸で生きる人々の‘痛切な生命のやさしさ‘だったという。
岡本太郎は、「沖縄とは、私にとって一つの恋のようなものだった」と言うほど、全身、全存在をこの対象にぶつけた。そして岡本太郎は、ある結論を導き出す。
『沖縄の中にこそ、失われた日本がある』
『沖縄ではじめて、私は自分自身を再発見した』
岡本太郎は、自ら沖縄へ溶け込み、そして沖縄で自分自身と出逢ったのだ。それほどまでに恋した太郎の沖縄とは、一体何だったのか?
そして、「岡本太郎の沖縄」は、今の私たちに何を投げかけ、今の私たちとどうつながるのか?それを確かめるため、もう一度、復帰50年の今、太郎に導かれて沖縄を旅するドキュメンタリー映画である。
本作は、前作から取材を重ねながら更に数年かけて、再構成・再編集した「ドキュメンタリー映画 岡本太郎の沖縄(完全版)」である。
©2022シンプルモンク/岡本太郎の沖縄背策委員会
三重県出身。雑誌編集、専門紙新聞記者、大学職員などを経て、取材撮影・映像プロデュース、ドキュメンタリー映画監督。
主な作品:「His Holiness the Dalai Lama14th〜Power of Compassion~」「ダライ・ラマ法王沖縄訪問の記憶」など。