ユース映画審査員
Berlinale
Spotlight-Generation
ベルリナーレ・スポットライト
–ジェネレーション
Section
風の電話 Voices in the Wind
17歳のハルは東日本大震災で家族を失い、広島に住む伯母・広子の家に身を寄せている。ある日、広子が倒れ不安に駆られたハルは、故郷の大槌町へ向う。旅の道中に出会った元原発作業員とともに旅を続けるハル。「家族ともう一度、話したい」。その想いを胸にハルは<風の電話>へと歩みを進める。
ジャパンプレミア
監督:諏訪敦彦
- 日本
- 2020年
- 139分
- カラー
- 日本語
- 英語字幕
©2020 映画「風の電話」製作委員会|配給 ブロードメディア
諏訪 敦彦 Nobuhiro Suwa
1960年、広島生まれ。これまでの監督作は、カンヌ映画祭をはじめ、世界を代表する映画祭で受賞される。2008年、監督作の『ユキ&ニナ』でも、ベルリン国際映画祭ジェネレーションに参加している。2014年には東京藝術大学大学院教授に就任する。
監督コメント Director’s Statement
この作品が初めてベルリン国際映画祭で上映された時、日本から遠く離れたベルリンの観客が、主人公のハルをまるで自分の家族のように暖かく迎えてくれたことに感動しました。ハルのような傷ついた魂を抱えて生きている人は、世界中にいることを実感しました。ハルが出会う人たちは、ひとりで旅を続ける彼女に「何があったの?」「どうして?」と尋ねることはありません。質問する代わりに、「いいから、食え」とハルに食べ物を差し出します。それは「生きているだけでいいんだよ」という無言のメッセージなのかもしれません。ハルは多くを語りません。この映画もまた特別なことを語るわけではありません。ただハルのように傷ついた人々の魂に、「大丈夫、大丈夫」とそっと寄り添う映画であってほしいと願っています。